犬の応急処置(出血、やけど、怪我、感電など)と予防
愛犬との生活では予想外なことがつきものです。
その一つが思わぬ怪我ではないでしょうか。
ここでは、日常で起こりやすい事故をまとめ、その応急処置をまとめました。
あくまで応急処置ですので、必ず獣医師に診察してもらいましょう。
またあわせて、事故にならないよう事前の予防対策も記載しました。
- 交通事故や落下にあった
- やけどしてしまった
- 感電してしまった
- 出血してしまった
- 骨折してしまった
- 誤飲してしまった
- 目に異物がはいった
- のどに何か詰まった
- 呼吸をしていない
- 心臓が動いていない
- 熱中症、日射病
交通事故や落下などの応急処置
- 呼吸を調べます。通常呼吸は1分間に20~30回です。
- 犬に意識がないときは首をそっと伸ばして気道を確保します。その際、引っ込んだ舌は引っ張っておき、汚物があれば取り除きます。
- 脈拍を調べます。前脚に近い部分に手を当てると図ることがわかります。大型犬で1分間に50~60回、小型犬は150回ぐらいまでが正常です。
- 目頭の結膜付近を指でそっとおさえます。意識があれば瞬間的に瞬きをします。
- 四肢の反射を見ます。引っ張ってみて動きがないときは危険な状態です。
- 出血が激しいときは清潔なタオルやガーゼで抑えて止血します。
やけどの応急処置
やけどがそれほどひどくなく、皮膚が少し赤くなっているだけなら、
- 氷をいれたビニール袋を患部にあてて冷やす
- 清潔なガーゼで抑えて、ゆるく包帯を巻く
- 皮膚の炎症が広がらなければ深刻な状態ではない
ただし、皮膚が赤くはれ上がり、まだらになるなどの症状が出るときは重度です。
応急手当をすると、かえって皮膚の炎症を悪化させることになるので、
清潔なガーゼで患部を覆い、すぐに動物病院へいきます。
予防対策
一番多いのは暖房器具などによるやけどです。
特にポメラニアンの場合、被毛が長いため、気づけば燃えてたこともあります。
柵を設けるなどして、近距離に近づけさせないことが重要です。
また、電気ヒーターや湯たんぽなどはブランケットをかぶせ、
直接皮膚にあてないようにします。
こちらはあわせて、ポメラニアンの寒い季節の対策をご参照ください。
感電の応急処置
軽度であれば、口内にやけどができる程度ですが、
のちに潰瘍から悪化して、穴が開くこともあるので、獣医師に診てもらいましょう。
予防対策
この事故は割と起こりやすく、
特に子犬の時期に遊びで電源コードを噛んで感電することが多いです。
健康に害がなく、苦い味のするスプレーが市販されているので、
出血の応急処置
- 傷口に清潔なガーゼをおき、上から数分、指で圧迫する。
- 血が止まらない時は止血個所から、心臓にちかいところの動脈を包帯で押えるように縛る。
- 傷口より上に関節がある場合は関節の上を巻く。(縛り過ぎには注意)
予防対策
床に鋭利なものがないか常に注意しておくこともそうですが、
散歩コースでけがをすることもあります。
骨折の応急処置
- 手足の骨折の場合、まず出血を押えます。
- 次に止血しているガーゼの上に、平たい棒で曲がらないようにします。(副木)
- 棒の上から包帯を巻いて固定します。
平たい棒は、段ボール、きつく丸めた新聞紙、木の棒などで大丈夫です。
また骨折で心配なのは腰や背中を打った時です。
その場合は、無理に動かさずに、獣医師に連絡し指示を仰ぎましょう。
予防対策
ご存知の通り、ポメラニアンは骨の弱い犬種です。
日頃から遊び場所などに配慮して、骨折しないように注意します。
くわしくは、これでポメラニアンと仲良くなれる!犬との遊び方をご参照ください。
誤飲の応急処置
これは誤飲したもので、吐かせて良いものとダメなものがあります。
- まずは愛犬が何を誤飲したのか確認します。
- わからない場合、意識がない場合は即刻動物病院へいきましょう。
- 吐かせてよいものか、吐かせてはいけないものか判別します。
- 応急処置後は誤飲したものを持参して、動物病院へいきます。
吐かせる場合
体重4~5kg当たりティースプーン1杯の塩を飲ませると吐かせることができます。
また消毒用オキシドールや過酸化水素水をスプーンやリベンジ(針のない注射器)
を使って流すなどの対処もあります。
ただしこれらは意識があるときのみおこないます。
吐かせてはいけない場合
吐かせることで、食道やのどの粘膜を再び傷つけてしまいます。
基本的に何もせずに、即刻動物病院へいきましょう。
下記は家庭で誤飲しやすいリストと対処法です。
食べてはいけない食物(チョコレート、ネギ類) | ちょっとした量の誤飲では問題はありません。 ただし、痙攣や震え、葡萄酒のような尿が出たときは中毒をおこしています。 6~24時間以内に死亡する可能性もあるので、即刻病院へいきましょう。 |
人間用医薬品 | 特に精神安定剤、降圧剤、強心剤などは危険です。 まずは吐かせて、病院へつれていきます。 |
乾燥剤・除湿剤 | 水や牛乳を飲ませて、至急病院へいきます。 |
防虫剤 | 何もせずに至急病院へいきます。 |
灯油、ガソリン、ベンジン等の揮発性物質 | 何もせず、吐かせてはいけません。 至急病院へいきます。 |
除光液 | 何もせず、吐かせてはいけません。 至急病院へいきます。 |
画鋲、ピン、針、ガラス、電池等 | 下手に吐かせると、胃などが傷つく恐れがあります。 何もせず、吐かせてはいけません。 至急病院へいきます。 |
トイレ用洗剤、漂白剤等の強酸、強アルカリ | 何もせず、吐かせてはいけません。 至急病院へいきます。 |
漂白剤、台所用洗剤、洗濯用洗剤 | 何もせず、吐かせてはいけません。 至急病院へいきます。 |
香水・コロン | 水などを飲ませて吐かせて、病院へいきます。 |
予防対策
人間の赤ちゃんと同様、犬の手が届く場所に余計なものを置かないようにします。
目に異物が入った場合の応急処置
- 異物が手で取れそうであれば取ります。
- 取れそうでなければ、水で洗い流します。
- 痛がるようであれば、冷水で冷やしたガーゼを目に当てます。
のどにボールなどが詰まった場合の応急処置
- 2人の力が必要です。1人がはやをふさがないように注意しながら、口をあけさせます。
- もう一人が口の中から異物を取り出します。
- 手でとれそうでなければ、ペンチなどをつかって取り出します。
予防対策
特に3歳までの子犬は何でも口に含むため、注意が必要です。
あらかじめ小さなものやおもちゃは与えたり置かないようにしましょう。
呼吸が止まっている場合の対処法
- 心音を確認します。心音があるのに呼吸していない場合、まずは獣医師に連絡します。
- 犬を横向きにして、口の中を調べます。舌をひっぱり気道を確保します。
- 犬を仰向けにして、頭を固定します。
- 犬の口をふさぎ、鼻から息を強く吹いていれます。
- 犬の胸がふくらむのを確認します。
- これを1分かんに15回を目安におこないます。
- 10秒ごとに脈拍をチェックして心臓が動いていることを確認します。
心臓が止まっている場合の対処法
- 呼吸と心音を確認します。変化がないようなら心臓マッサージに入ります。
- 犬を横たえます。
- 親指とその他の指で胸部をはさむようにしてマッサージします。
- もう一方の手は、背中を支えます。
- 毎分120回のペースで行います。
- 心臓マッサージ15秒に対し、10秒間人工呼吸もおこないます。
熱中症、日射病の応急処置
ハアハアと荒い息をしながらへたりこむ、よだれをたらす、歯茎が赤いようなら
熱中症や日射病の可能性があります。
また、眼が充血する、呼んでも反応が鈍い場合は、かなり危険な状態です。
- すぐに日陰に運びます。
- 犬が水を飲みたがるようなら、十分に水を飲ませます。
- その後、冷たい水で濡らしたバスタオルを全身にかぶせる、足のつけ根などに、冷たいタオルやペットボトルを当ててあげます。
- 重度の場合は、浴槽などにお水をため、犬を抱きかかえながら、腹から下全部を浸からせます。浴槽がない場合は、つめたい水を全身にかけます。
- 冷却中は10分おきに温度を計り、39度に下降したら大丈夫です。
予防対策
犬は暑さに弱い動物です。
梅雨から初秋にかけた暑い季節の散歩や室内運動、
車中など熱中症や日射病の危険があります。
また日差しがないときでも、日本は暑いため、その場合は屋外をさけ、
室内の運動にしましょう。
くわしくはポメラニアンの夏場の日中対策をご参照ください。