犬の『胃腸』の病気と予防、応急処置方法まとめ

胃炎

症状

急性と慢性があります。

急性の場合、泡(胆汁)や血液交じりの嘔吐、食欲のムラ、脱水症状がおこります。

慢性の場合、食欲低下、体重減少、嘔吐、ゲップなどが出ます。

原因

急性の場合、腐敗した食べ物や水、異物誤飲、食べ過ぎなどが原因です。

慢性の場合、消化不良、胃の運動低下、ストレスなどが考えられます。

治療・応急処置・予防方法

突然嘔吐した場合は、まず何を食べたのか確かめます。

いったん食事と水を与えるのをやめて、異物誤飲など調べましょう。

もし危険な異物や薬品を食べた可能性がある場合、早急に病院にいきます。

また食べ過ぎも胃炎の原因となるので、食事量にも注意します。

 

胃拡張

症状

胃拡張は胃がガスで充満し、上腹部の張り、

腹痛、吐こうとしても吐けないといった症状がでます。

進行すると胃捻転になる恐れがあり、急を要する病気です。

原因

老犬でやせ形の、胴長な大型犬に多い病気です。

大量の食事と水を飲んだ後に急激に運動すると発症する場合があります。

治療・応急処置・予防方法

胃捻転に移行する可能性もあるため、

至急動物病院に診察してもらいましょう。

治療はガス抜き、場合によって開腹手術をします。

 

胃捻転

症状

大量のよだれを出す、腹部の痛みで横になることもできない、

呼吸困難、ショック症状をおこします。

24時間以内に死亡するので、至急治療が必要です。

原因

胃拡張と同様老犬でやせ形の、胴長な大型犬に多い病気です。

食後3時間以内に発症することが多く、胃がねじれている状態です。

胃拡張が進行すると、胃の血液循環が悪くなるため、

胃壁や脾臓(ひぞう)が壊死します。

治療・応急処置・予防方法

場合によって開腹手術をします。

ショックに対する輸液と薬物治療をおこないます。

 

胃潰瘍

症状

頻繁に血が混じった褐色色の嘔吐を繰り返します。

血便や発熱、腹部の激しい痛みによる衰弱などがあります。

原因

胃の粘膜に潰瘍ができ、そこからの出血が原因です。

精神的ストレスのケースは少なく、薬物、腫瘍、腎不全、細菌感染症が

原因であることが多いです。

治療・応急処置・予防方法

発症が見られたら、水や食べ物は与えずに病院へ行きます。

原因となる病気の治療とともに、胃粘膜保護剤や胃酸分泌抑制剤などを使用します。

 

出血性胃腸炎

症状

突然発症します。

悪臭がする大量の血液が混じった下痢便をしたり、吐血をします。

次にぐったりし、呼吸と心拍が早くなり、血液低下、低体温などのショック症状、

血液の濃縮がおこります。

原因

原因は免疫的な反応とされていますが、明確なものはわかりません。

2~4歳までのトイ種、ミニチュア種に比較的多くみられます。

治療・応急処置・予防方法

発症が見られたら、水や食べ物は与えずに至急病院へ行きます。

輸液治療や抗生物質による治療を行います。

加えて、下痢が治るまでは絶食をおこない、通常1日~2日で回復します。

 

食道狭窄(しょくどうきょうさく)

症状

食べると直ぐに嘔吐します。

原因

食道が狭くなることにより、胃まで食べ物を送ることができない状態です。

治療・応急処置・予防方法

発症が見られたら、水や食べ物は与えずに至急病院へ行きます。

食道の機能を助けたり、炎症を抑える内科治療が主で、予後不良の場合もあります。

食事を数回に分けて飲み下しやすいように、犬を上に向かせて流し込んだりします。

 

巨大食道症

症状

飲み下しが困難になり、食べた途端に吐いたりします。

原因

異物による食道の損傷、腫瘍などの疾病が原因です。

治療・応急処置・予防方法

発症が見られたら、水や食べ物は与えずに至急病院へ行きます。

輸液治療を行いながら、狭窄部分を拡張するための治療、投薬を行います。

 

胃穿孔(いせんこう)

症状

血が混じった嘔吐をします。

場合によっては腹膜炎を併発し、死亡率が高くなります。

原因

胃潰瘍や鋭利な異物の誤飲により、胃に穴が開いた状態です。

治療・応急処置・予防方法

発症が見られたら、水や食べ物は与えずに至急病院へ行きます。

緊急外科手術が必要になり、早急に穿孔をふさぐ必要があります。

 

細菌性腸炎

症状

下痢や出血、発熱が続きます。

原因

腸内の細菌バランスが崩れることで発症します。

治療・応急処置・予防方法

発症が見られたら、水や食べ物は与えずに病院へ行きます。

抗生物質が主な治療方法になります。

 

直腸ポリープ

症状

下痢や血便が続きます。進行すると体重減少になります。

リンパ節へ転移が起こりやすい病気です。

原因

主に高齢犬に多い病気です。

治療・応急処置・予防方法

便通が悪かったり、血便が続く場合は動物病院へ行きます。

主に手術による摘出になります。

悪性の場合は、摘出後、抗がん剤治療が必要になる場合もあります。

 

小腸の炎症

症状

慢性の嘔吐と下痢が続きます。

原因

寄生虫や細菌、ウイルス、膵炎(すいえん)が原因で発症します。

治療・応急処置・予防方法

水や食事は与えずに、動物病院へ行きましょう。

 

大腸の炎症

症状

慢性的な下痢や、ゼリー状の粘膜が付着した便、血便などが出ます。

原因

食物アレルギー、寄生虫、腫瘍や免疫的なものが原因です。

治療・応急処置・予防方法

水や食事は与えずに、動物病院へ行きましょう。

主に食物繊維を多く含んだ、低アレルギー食による治療になります。

 

腸閉塞

症状

食欲の低下、慢性的な嘔吐、激しい腹痛、

進行すると腸内のガス毒素により衰弱していきます。

原因

主に異物の誤飲が原因です。

そのほか、腫瘍、寄生虫、胃捻転などが原因の場合もあります。

治療・応急処置・予防方法

日頃から異物誤飲に気をつけます。

症状が見られたら、水や食事は与えずに、動物病院へ行きましょう。

内視鏡や外科手術で異物を取り除く治療をおこないます。

 



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