愛犬がボケてしまったときのやさしい部屋作り
人間と同様に犬も高齢になるとボケ(痴呆症)になってしまうことがあります。
ポメラニアンは少ないといわれていますが、ボケてしまった場合、
飼い主さんには今までとは違う配慮が必要になってきます。
ひとつがリハビリです。
これについては犬が寝たきりや痴呆症(ボケ)になってしまったらをご参照ください。
もう一つが『部屋作り』。
というのもボケの症状で代表的なものに、
『後退ができなくなる』、『ぐるぐる同じところを徘徊する』
というものがあります。
愛犬が家具と家具の隙間に入ったきり出てこれなくなる、
というのを見て飼い主さんが驚きあわててしまうということは良くあることです。
後退する力が弱まってきたと思ったら対策を
この症状は認知症でなくても、
老化による後足の筋力の衰えも関係していることもあるので一概には言えませんが、
どちらにせよ部屋作りを配慮したほうが良いでしょう。
なんとか抜け出そうと怪我をしてしまうかもしれませんし、
飼い主さんに発見されるまで、いつまでたってもじっとしているなどあるからです。
大事なのは隙間を作らない家具配置
基本的に隙間を作らないような家具配置にレイアウトを組みなおします。
組み換えが難しいようであれば、隙間に新たな家具を入れたり、
小物を配置したりして、進入できないようにするとよいです。
角を丸くしていく
もうひとつ重要なのは部屋の角を丸くしてあげることです。
ボケが進行すると、
壁沿いにずんずん歩いて頭をぶつけて止まってから、
後退できずに身動きが取れなくなったり、
進行方向を変えるのに時間がかかってしまうことが良くあります。
段ボールやござなどをつかって、部屋の角をアーチ状にしてあげましょう。
後退する必要がある物の配置にしないこと
後退をしなくてもよい物の配置を心がけます。
例えば、フードボールやお水の位置を壁沿いにおいてしまうと、
食べ終わったあとに後退できないので動くことができなくなります。
周りに十分なスペースを確保することが大切です。
また狭いケージなどでも後退ができないので、
広めのケージにしてあげるか、
愛犬をよく観察して、出ようとしていれば直ぐに介助してあげましょう。
同じところを歩き始めたら対策を
同じところをぐるぐる回って徘徊するのはボケの代表的な行動です。
大抵障害物にあたってしまうことがおおく、
どうにもできなくなって大声で鳴き出してしまったりします。
こうした場合はやさしく方向転換してあげましょう。
また徘徊自体を強制的に止める必要はありません。
老化すると昼間中寝てしまい、夜に眠れなくなって、
夜泣きが酷くなることは多々あります。
徘徊により歩くことは問題ないので、旨く徘徊できる介助をしてあげましょう。
疲労やのどの渇きへの感覚が鈍っている可能性もあるので、タイミングを見計らってやさしく止める配慮は必要です。
円形の枠に入れてあげて、徘徊をスムーズに
徘徊の介助に円形の枠の中に入れてあげる方法があります。
注意したいのがぶつかることがあるので、柔らかい素材でできたものにすること。
小型犬ならビニールプールなどでも良いですし、
お風呂マットなどを繋ぎあわせて作ってあげても大丈夫です。
ただし、放っておくといつまでも回ってしまう可能性があるので、
一定時間たったら枠から出してあげましょう。
換気のよい部屋作りを
マンションなどはとくにそうですが、気密性が高いと空気が淀んでしまいがちです。
人間にとっては快適な場合でも、風通しの良いのを好む犬には堪えることも。
日中などはたまにでも良いので換気心がけてましょう。
やさしい日差しのあたる場所は犬が好む傾向もあるので、
窓を開けてあげると(ただし網戸はあけない)、心地よい空気にふれてリラックスできます。
また時折外からくる風や音は刺激にもなるので、
脳の活性化につながり、老化やボケの改善にも役立ちます。
ただし、暑すぎる、寒すぎる日は愛犬の体にこたえるので、時間帯ずらしたり、見送りましょう。
床に不用意に物をおかないこと
子犬の時期と同様、床に不用意に物を置いたりしないようにしましょう。
誤飲やけがをしてしまう可能性がありますから、
なるべく障害物を置かないようにしたり、変なものが落ちていないか注意します。
掃除機や座椅子、バック、洗濯かごなど不用意に置いてしまいがちです。
部屋の隅に寄せるなどしてあげます。
ぶつかりそうなところに柔らかい素材を巻く
椅子やテーブルの端、テレビラックの角など、
愛犬が思わずぶつかってしまいそうな場所に、
クッション材など柔らかい素材を巻いておくのも良いでしょう。
いざぶつかっても痛い思いをさせなくて済みますし、怪我の心配もへります。
段差にはスロープをつける
ソファや段差などの昇降は高齢犬には負担になりやすい場所です。
ペット専用のステップやスロープを設けたり、
着地部分にクッションマットなどを敷いてあげるようにしましょう。
家族が見える場所、声が聞こえる場所に
犬はもともと集団を好み、飼い主さんや家族とのコミュニケーションが大好きな動物です。
ですから、コミュニケーションが不足するとストレスになります。
特に高齢犬になるとストレスや寂しさは若いころ以上といわれています。
もし愛犬の寝床が家族を感じられない場所であれば、移動を検討してみるのもありです。
ただ嫌がるようでしたら、第2の専用スペースを作ってあげましょう。
お気に入りのクッションや毛布などなど、
家族の感じられる位置に移動させるのがポイントです。
愛犬が選択できるスペースを
上記に関連して、愛犬の居所を複数作ることもよい方法です。
例えば、涼しい場所と温かい場所など、
愛犬自身が自分の感覚にあわせて温度の調整ができるようにしたり、
家族が感じられる場所と、静かに眠れる場所など、
愛犬の気持ちに合わせて居られる場所を用意すると、
愛犬の負担も少なくなります。
以上がやさしい部屋作りです。
大切なのは愛犬の行動を変えるのでなく、
『どうしたら愛犬にとってやさしい部屋にできるか』という視点だと思います。